絵画は年月を経ると劣化していきます。
修復するには高い専門知識と技術が必要です。
作業にあたっては、まず写真などで絵画のデータを残し、また使用されている画材や劣化の具合を詳しく調べていきます。
絵画と一口にいってもさまざまな技法があり、油絵やアクリル画の場合には、板やカンバス、木枠などといった画面の支持体が傷んでいる場合があります。
こうした絵は支持体から外し、そりやゆがみを直します。
絵は丁寧に洗浄し、カビやシミといった汚れを落としていきます。
絵の具の剥離や亀裂などの傷みがある場合、充填剤を使用して凹凸をならし、復元作業が行われます。
こうした修復を行う人を絵画修復士といい、日本では資格がなくてもなれますが、ヨーロッパなどでは要資格の職業です。
数年に一度しか学生を受け入れないという学校もあり、狭き門となっています。
日本でも美術大学などで技術を学ぶことができますが、海外の現場で修行を積むという人も多くいます。
美術館や博物館での楽しみはもちろん、作品そのものの魅力を堪能し、それが産み出されるまでの過程や作者の思いや苦悩といった裏話を解説文で知ることでしょう。
古い作品においては時代背景も同時に学ぶとより作品を感慨深く見ることができます。
しかし、それらの一般的な鑑賞とは全く別の角度から見る、美術館、博物館での楽しみ方があります。
それは、そこで働く学芸員たちの努力を見ることです。
学芸員たちは作品をいかにあるがままに残すかということに命をかけています。
特に変色などの劣化しやすい絵画などはその修復作業に大変繊細な技術が必要となります。
絵画の修復は、劣化した箇所を補修して終わりではありません。
いかに原形に戻すのか、作者の意図を汲み取って作業を行います。
絵画の原作者が亡くなっている場合でも、補修する学芸員は現場で働くスタッフです。
そこでしか聞けないリアルな話から、修復にあたってのこだわりを聞くことで、絵画に対する思わぬ楽しみが生まれるかもしれません。
Last update:2024/8/6